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[ 2014/07/02 | 文部科学省 | 中央省庁 | 東京都 | 非上場・外資系企業 ]

国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(第1回) 議事録



本リリースの公式ページ
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国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(第1回) 議事録
1.日時

平成26年5月8日(金曜日)10時~12時


2.場所

文部科学省研究振興局会議室


3.議題

ILCに関する有識者会議の議事運営等について
ILC計画に関する動向について
ILC計画に関する有識者会議の今後の進め方について
その他
4.出席者
委員
平野座長、岡村座長代理、伊地知委員、梶田委員、京藤委員、徳宿委員、観山委員、森委員、山内委員
文部科学省
櫻田副大臣、土屋文部科学審議官、小松研究局長、山脇大臣官房審議官(研究振興局担当)、安藤基礎研究振興課長、大土井素粒子・原子核研究推進室長
オブザーバー
鈴木高エネルギー加速器研究機構長
5.議事録

【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


もうちょっとしたら当省の関係者がもう少し来ますけれども、申し訳ございません、時間になりましたので、そろそろ始めさせていただきたいと思います。私、素粒子・原子核研究推進室の室長をしております大土井でございます。


本日は、お忙しい中、本当にありがとうございます。


まず、本会の1回目に当たりまして、簡単な概要というか、趣旨の説明をさせていただきます。


このたび、文部科学省に国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議を設置いたしまして、国際リニアコライダー計画について必要な検討を行うということとなりました。その第1回会合に先立ちまして、事務局より2点ほど連絡をさせていただきます。


まず1点目、本会議の座長でございますけれども、前名古屋大学総長でございまして、現在、上海交通大学講席教授の平野先生にお願いしております。


もう一点でございます。後ほど本会議の議事運営等について御議論いただきますけれども、座長とも相談の上、本日の会議は公開とさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。


マスコミの方いらっしゃいますけれども、まず冒頭、撮影の時間を取りますけれども、すみませんが、その後、会議進行中の撮影はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。


それでは、ちょっとだけ時間を取りますので、よろしくお願いいたします。


( 撮影 )


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


そろそろよろしゅうございますでしょうか。それでは、撮影につきましてはここまでとさせていただければと思います。


それでは、平野先生、進行の方をお願いいたします。


【平野座長】


皆さん、おはようございます。本日は、大変お忙しいところを、国際リニアコライダー有識者会議に御出席いただきまして、ありがとうございます。御指名でございますので、皆さん方の協力を頂きながら座長を務めさせていただきます。


私自身はリニア―コライダーの係わる研究の専門家ではありませんけれども、工学系で結晶化学、材料科学の分野で研究してきております。日本がどのようにサイエンスのぶんやできちんとプレゼンスを示すかということは大変重要な課題だと思っております。その中で、リニア―コライダーを日本としてどうするかということは、今後、皆さん方の御議論を頂きながら詰めていくところでございますが、現在、学術分科会長を務めておりまして、昨日も課題となっている学術の在り方に関する特別委員会を開いておりました。ある意味で、学術は危機的な状況でもあり、懸念しているところでございます。学術をきちんと国際的にも貢献するように、日本の研究者が生き生きと活躍ができるような場にしていきたいと考えております。上海交通大学で仲間と研究続けていますので、一科学者のつもりでございますので、皆様と真摯に議論していきたいと思っております。


それでは、本日、出席いただいております委員の皆さん、及び文部科学省から出席していただいている事務局の方々の紹介を頂きたいと思います。


事務局、よろしくお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


それでは、本日、御出席いただいております委員の皆様を御紹介いたします。私の隣から、五十音順でいかせていただきます。


まず、成城大学の伊地知委員でございます。


【伊地知委員】


伊地知でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、法政大学、岡村委員でございます。


【岡村委員】


岡村でございます。どうぞよろしくお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、東京大学、梶田委員でございます。


【梶田委員】


梶田です。よろしくお願いいたします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、日本学術振興会、京藤委員でございます。


【京藤委員】


京藤でございます。よろしくお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、KEK、徳宿委員でございます。


【徳宿委員】


徳宿です。よろしくお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、広島大学、観山委員でございます。


【観山委員】


観山でございます。よろしくお願いいたします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、東京理科大学の森先生でございますけれども、今、ちょっと電車が遅れておるということで、後ほど御出席ということでございます。


続きまして、KEK、山内委員でございます。


【山内委員】


山内でございます。よろしくお願いいたします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


なお、ほかの委員でございます大町委員、熊谷委員、神余委員、横山委員につきましては、本日、欠席という御連絡を頂いているところでございます。


また、本日でございますが、まずILCについて御説明いただくということで、高エネルギー加速器研究機構の鈴木機構長に御出席いただいております。


【鈴木高エネルギー加速器研究機構長】


鈴木でございます。よろしくお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、文部科学省からの出席者でございます。


まず、土屋文科科学審議官でございます。


【土屋文部科学審議官】


土屋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


続きまして、山脇大臣官房審議官でございます。


【山脇大臣官房審議官】


山脇でございます。よろしくお願いいたします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


なお、櫻田副大臣は、所用のため後ほど遅れて御出席ということでございます。


また、小松局長と安藤課長は、すみません、用務が終わり次第、こちらの方に出席となっております。どうぞよろしくお願いします。


以上でございます。


【平野座長】


ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。


第1回の有識者会議の開催に当たりまして、山脇大臣官房審議官から一言御挨拶をお願いします。


【山脇大臣官房審議官】


本来ならば、振興局長、小松が御挨拶するべきところですが、ちょっと遅れておりますので、研究振興局担当の審議官、山脇より御挨拶を申し上げます。


このたびは、この有識者会議の開催に御多忙のところ御出席いただきまして、本当にありがとうございます。


このILC計画の実現のためには、本当の国際協力プロジェクトとするための枠組みを作り上げていくことに加えまして、極めて多額の経費を必要とするプロジェクトでもございます。財源や人材の確保など、この計画の実施の可能性につきまして明確にしていくべきことが多々あります。これらの重要な点について審議していただくことになろうかと思います。また、一方で、KEKや大学におきまして、いろいろな研究、今後の研究計画も進んでいるところでございます。このような素粒子物理学全体としての様々な研究がある中で、これらを踏まえて、このILC計画についての実現可能性を検討していくことが必要であろうと考えております。昨年には、日本学術会議でこの計画について議論を頂きまして、さらなる調査、検討は必要だという提言も頂いたところでございます。


このような観点から、より詳細な検討を進めるために、この有識者会議で皆様の御議論を是非お願いしたいと考えているところでございます。各委員、御多忙のところとは存じますが、是非、御助力、御指導をお願いしたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。


【平野座長】


どうもありがとうございました。


それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


お手元資料でございます。本日の資料について御確認をお願いいたします。


まず1点目、資料1でございますが、ILCに関する有識者検討会議の設置について。


資料2でございます。ILCに関する有識者検討会議議事運営規則(案)でございます。


3番目、ILC計画について。


4点目、日本学術会議の「国際リニアコライダー計画に関する所見」の取りまとめ(抄)でございます。


5点目、ILCプロジェクトの推進。


6点目、ILC計画に関する今後の検討の進め方について(案)でございます。


7点目、有識者会議、今後のスケジュールについてでございます。


このほか、先生方の方には、若干の参考になるような資料を紙ファイルでとじて卓上に配付させていただいております。


その中にございますのは、1点目が国際リニアコライダー計画に関する所見ということで、昨年9月の日本学術会議の回答の原文でございます。


2点目でございますが、学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップというもので、平成22年の10月に取りまとめられたもの。


3点目でございますが、ILCの立地評価会議が出しました立地評価結果の概要。


4点目でございますが、CERNの概要。


5点目が、素粒子物理学における欧州の未来戦略、いわゆる欧州戦略というものを御参考までに付けておりますので、後ほどお読みいただければと思っています。


また、資料、過不足等ございましたら、後ほどでも結構でございますので、随時、事務局の方にお知らせください。


以上でございます。


【平野座長】


ありがとうございます。


それでは、議事に入りたいと思います。


まず、1番目の議題といたしまして、この会議の公開の在り方、議事運営の方法等について、事務局から御提案をよろしくお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


それでは、お手元資料の資料2に基づきまして御説明差し上げます。リニアコライダー計画に関する有識者会議の議事運営規則(案)でございます。


第1条、有識者会議の運営。国際リニアコライダーに関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)の議事の手続その他有識者会議の運営に関しては、この運営規則の規定するところによる。


第2条でございます。座長は、有識者会議の事務を掌理する。第2項、座長が有識者会議に出席できない場合は、あらかじめ座長の指名する委員がその職務を代理する。


議事、第3条でございます。有識者会議は、有識者会議委員の過半数が出席しなければ有識者会議を開くことはできない。第2項、関係機関に対して必要な協力を求めることができる。第3項、必要があると認めるときは、参考人を招いて意見を聞くことができるという内容でございます。


第4条でございます。専門的な事項について調査、検討等を行わせるため、有識者会議に作業部会を置くことができる。作業部会の組織及び運営に関し、必要な事項につきましては座長が定めるという内容が第4条でございます。


第5条でございますが、代理人を有識者会議に出席させることはできないという規定でございます。


第6条、公開でございますが、有識者会議は原則として公開する。ただし、座長が会議を公開しないことが適当であるとしたときは、この限りではない。第2項、前項ただし書きの規定により有識者会議を公開しないこととした場合には、その理由を公表するものとするという内容でございます。


第7条、座長は、有識者会議における審議の内容等を議事録の公表その他適当な方法により公表する。ただし、座長が審議の内容等を公表しないことが適当であるとしたときは、有識者会議の決定を経て、その全部、又は一部を非公表とすることができる。


第8条は、その他必要な事項に関しましては座長が定めるという内容でございます。


以上でございます。


【平野座長】


ありがとうございます。


ただいまの説明に関しまして、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。


ありがとうございます。それでは、今、説明いただいた議事運営規則に則りまして、この会議を進めていきたいと思います。


また、この会議には座長代理を置くということになっております。私は努めて欠席しないように出てまいりますが、特にいろいろ御相談に乗っていただき、必要なときには議事をサポートいただかなければいけませんので、運営規則の第2条2項に基づいて、私の方から指名させていただきたいと思います。つきましては、岡村委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。


では、岡村先生、よろしくお願いします。


【岡村座長代理】


よろしくお願いいたします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


では、岡村先生、すみません、あちらの方に御移動いただけますか。


【岡村座長代理】


それでは、平野座長と協力して、できるだけ適切な運営に努めたいと思いますので、皆さん、どうぞ御協力、よろしくお願いいたします。


【平野座長】


よろしくお願いします。


それでは、次の議題(2)に入らせていただきます。今後、ILC計画を検討していくわけでありますが、まずは各委員にILC計画の現在の状況について理解を深めていただいた方がよろしいと考えております。最初に、事務局から簡単に概略を説明いただきまして、その後、高エネルギー加速器研究機構の鈴木機構長から、ILCに関する最新の動向について説明を頂きたいと思います。


では、まず事務局、よろしくお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


お手元の資料3と資料4に基づきまして、簡単に御説明を差し上げたいと思います。


まず、資料3をごらんいただければと思います。ILC計画の概要をごくごく簡単に説明させていただければと思います。


資料3の1ページの一番上にございますとおり、この計画につきましては、基本的に全長30キロ程度の線形加速器を造りまして、電子と陽電子の衝突実験を行うという計画でございます。この実験によりまして、ヒッグス粒子の性質の解明でございますとか、未知の粒子の発見などが期待されるという内容でございます。


平成25年6月、昨年6月に国際的な研究者グループが公表しました設計報告書、これは通常、TDR(Technical Design Report)というものでございますが、そこにございます建設コストは約8,300億円となっております。ただし、このコストには、詳細な設計活動によるコストでございますとか、土地の取得費、あるいは真ん中に実験をした後の測定器がございますけれども、その2台の測定器、及びマネジメントに関する人件費等は含まれておりませんので、こういったものにつきましてもコストを検討する際には検討が必要という内容でございます。


1ページ目の上のページの右下のところに、すみません、ちょっと小さくなってございますが、加速器の方式について本当にごくごく簡単に御説明差し上げます。左側に、LHCというものがございます。大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider)と小さく書いてございますが、これはジュネーブのCERNの方でやっております実験でございまして、陽子と陽子をぶつける研究をするものでございます。右側の方は、ILC、今回の計画でございまして、この実験におきましては直線で電子と陽電子をぶつけるというものでございます。電子と陽電子をそれぞれ左右から加速いたしまして、真ん中点で衝突させるという実験計画でございます。


下のページでございますが、ILCに関する研究開発といたしまして、まず肝になりますところは直線の加速器部分でございます。下のページの上の方の写真にございますとおり、銀色の蛇腹のようになった缶がございますが、これはニオブでできました超伝導の加速空洞でございまして、この加速空洞を1万6,000個、左右それぞれ8,000個ずつ並べまして、直線で電子と陽電子をそれぞれ加速するという計画でございます。これにつきましては、今、ドイツの方で造っております実験装置の方で実際に運用、活用されているという状況でございます。


また、左の下の方にございます2つの絵でございますが、それぞれ測定器でございまして、電子・陽電子衝突の結果として生じます新しい粒子を計測するために必要な測定器でございまして、2つのタイプを想定して、今、研究者の先生方が研究されているところでございます。


次のページでございます。ILCで行う研究で目指すものという内容でございますが、上の絵のところにございます、標準理論に基づく素粒子の種類という四角をごらんいただければと思います。


物質は、原子核、その下は陽子、もっともっと下でクォークと、いろいろな粒子の基礎構造がどんどん明らかになっているところでございますが、物質のもとといたしまして、今現在の理論としましては、一番左側、標準理論の中に物質のもとで、アップ、チャーム、ダウン、その他6つのクォークがある。


その横にございますのがレプトンと呼ばれる粒子、これもまた6つございます。


その右側にありますのは、力のもとと呼ばれます粒子でございまして、フォトンでありますとか、ボソンでありますとか、グルーオンといったものをゲージ粒子という名前で呼んでおります。それぞれどういう性質を持っているかというのをはっきりと言うよりは、後ほど鈴木機構長の方で御説明があるかと思いますが、こういった基本的な粒子が見つかってきている状況でございます。


昨年、ノーベル賞を受賞されましたヒッグス粒子は、ここの中の最後のパーツと言われるものでございまして、力がどうやって生じるのかというところを示す粒子と言われております。イメージとしましては、雪のようなものという言われ方もしますし、ヒッグス粒子に物が当たることによって重さが生まれるという粒子でございますが、存在が分かっていたものの、その性質についてはもう少し詳細な研究が必要だろうという状況になっているものでございます。


標準理論のその他、素粒子原子核、素粒子物理学につきましてはいろいろなアプローチがございます。下のページでございますが、加速器を用いた実験としましても、高エネルギーフロンティアでありますとか、大強度フロンティアでございますとか、ニュートリノ研究でございますとか、いろいろなアプローチがございます。


まず、一番上の高エネルギーフロンティアでございますが、現在、稼働中の施設としましてはCERNのLHCというものがございます。過去には、米国のTevatoronでございますとか、欧州のLEPと言われた施設もございました。次の施設としましては、今、現行ではILCが一番熟している計画でございます。ただし、その先には、CLICでございますとか、FCCでございますとか、いろいろな構想がそれぞれ存在しているということでございます。


大強度フロンティアでございますけれども、この分野につきましては、日本のKEKにございますSuper KEKBが来年度以降のできるだけ早い運転を目指して、今、調整をしているところでございます。


(3)でございますが、ニュートリノ研究でございます。これにつきましては、J-PARCと神岡でやっておりますT2K実験、あるいは欧州のOPERA実験、米国では、今、NOvAを建設中でございますし、LBNEというロングベースラインの施設につきましても検討しているという内容でございます。欧州でも、さらにその次の計画を検討しているという状況でございます。


そのほか、加速器を用いない実験というものもございまして、スーパーカミオカンデによる宇宙の宇宙線の計測でございますとか、カムランド、あとは中国、韓国、フランス等にも施設の計画がございます。


陽子の崩壊探索実験につきましても、スーパーカミオカンデの方でカバーしているという状況でございます。


暗黒物質につきましても、XMASSや天文研究をされているところでございます。


いろいろなアプローチがあるということをごらんいただければと思います。


次のページでございますが、特にそのうち加速器を用いた大型実験施設ということで、3つほど例を出しております。


ジュネーブのLHCがありますが、これはあくまでも陽子と陽子をぶつけるもの、Super KEKBは電子と陽電子をぶつけるもの、最後はJ-PARCでございますが、これはいろいろなビームが出てきてニュートリノビームを測定したり、いろいろなアプローチができる実験装置として、今、国際的にも評価が高まっているという状況でございます。


下のページでございますが、これまでに公表されておりますILC計画につきまして、いろいろ資料がございますので、それにつきましても抜粋として御紹介差し上げます。


まず、TDR(技術設計報告書)でございますが、昨年6月に国際的な研究者グループのリニアコライダーコラボレーション(LCC)が公表した技術設計報告書でございます。5年余りの検討を経て策定されたものでございまして、第1巻がサマリー、第2巻が科学的な検討、第3巻がコストその他の検討、第4巻が測定器の研究という内容になってございます。TDRの前に、RDR(Reference Design Report)というものがございましたが、それから幾つかの点においてモディファイされて、さらに煮詰まった計画になっているという内容でございます。


コスト評価につきましてもTDRに記載してございます。表示通貨としましてはILCユニットというものを用いておりまして、これは2012年1月時点での米国の米ドルに相当する単価として使われております。TDRの中心でございます超伝導技術につきましては、ドイツのハンブルグにございますDESYの方で、今、建設をしておりますX線自由電子レーザーで用いられている技術をそのまま使うということを想定しております。TDRで示されたILCの設計コストの総算定値は、アジア、欧州、米国それぞれのサイトで、それぞれ建設した際のコストの平均値としまして約78億ILCユニット、これを当時のレートで円に換算しますと約8,300億円になっているという内容でございます。


続きまして、次のページ、最後のページでございますが、国内研究者が中心となりまして立地評価会議を設置しまして、それが公表した立地評価書の内容を御紹介差し上げます。ILC立地評価会議は、技術的観点及び社会環境の観点からの評価を行いまして、ILCの国内候補地として北上サイトが最適との結論に至ったという内容でございます。ただし、本結論につきましては、背振サイトの方から声明が発表されておりますのと、九州大学、佐賀大学が中心となりまして、今、学術的な見地からの検討が行われているという状況でございます。今のシチュエーションとしましては、そういう状況であることを御理解いただければと思います。


続きまして、すみません、ちょっと長くなりますが、資料4に移らせていただきます。昨年9月に公表されました日本学術会議におきます検討結果の取りまとめ(抄)でございます。本文につきましては紙ファイルの方をごらんいただければと思いますが、本日は資料4、サマリーに基づきまして御説明差し上げます。


昨年5月に、文部科学省の研究振興局長から日本学術会議の方に対しまして、ILC計画に関する検討を依頼いたしました。検討の依頼事項は下記にある4点でございまして、まずILC計画の学術的な意義、あるいは素粒子物理学における位置付けについてというのが1点目。2点目は、学術研究全体における位置付けについてでございます。3点目、我が国で実施することの国民及び社会に対する意義について。第4点目、準備状況と建設及び運営に必要な予算及び人的資源の確保の諸条件という4点が審議を依頼した内容でございます。


次のページでございますが、日本学術会議におきます検討委員会の名簿と審議経過でございます。審議経過の方にございますとおり、鈴木機構長におかれましては検討委員会の方でもプレゼンテーションを行っていただきまして、途中、非公開の審議がございましたが、最終的には9月24日に日本学術会議としての所見を取りまとめたという経緯でございます。


次のページでございます。ILC計画の学術的な意義及び素粒子物理学における位置付けといたしまして、高エネルギーの素粒子物理学研究は、ハドロン衝突型の加速器と電子・陽電子衝突型加速器とを総合的に利用することで発展してきた。最先端のハドロン衝突型加速器でございますCERNのLHCと相補的な電子・陽電子衝突型加速器の次期計画として、ILCは国際的に認知した計画ということでございます。ILCの当初ミッションはヒッグス粒子に関わる精密測定でございますが、超対称性粒子など新粒子探索の見通しにつきましては、現状、ILCにおいては不透明という内容でございまして、LHCでも今現在まで見つかっていないという内容でございます。


マル2、我が国での実施の可否判断に向けた諸課題の検討というところでございます。必要経費といたしまして、先ほどの8,300億円は最小限での見積りでございますので、場合によっては1兆円を超えるであろう。それを10年間にわたって負担をすることになる。運営経費につきましても300億円程度は少なくとも掛かる計画でございまして、それが20年程度、運転時間が必要になるというものでございます。ただし、これらの国際分担の割合につきましては現時点で未定でございまして、それぞれのコストの算定精度の向上も必要だろうという指摘がなされております。


人的資源につきましても、建設時に1,000人超の加速器科学者や技術者が必要となりますが、国内だけでは不足している状況でございまして、海外からの参画は必須という指摘がございます。


国際的な推進体制、欧米の状況につきましては、ヨーロッパは今、LHCの高度化をしておりまして、エネルギーを向上させております。そのアップグレードを最優先としておりまして、まずそちらの方に注力するであろう。米国の方針は、現在、不明でございまして、いずれもILCを主導しようという動きは今のところはないという指摘がなされております。


次のページでございます。ILCの我が国での実施の可否判断に向けた諸課題の検討というところでございますが、ILCはその必要経費や人的資源の規模からいたしまして、国際的な協力関係に基づくことが必要であろう。ただし、現状では、国内での実施体制、海外からの研究者の参加の見通し、必要経費の国際分担の見通しなどの重要事項に関して不確定要素やリスク要因がある。コスト算定の精度向上、社会インフラの整備、周辺環境への影響、放射線安全対策、地震対策なども含め、広く国民の理解を得る努力が必要であろうという指摘がございます。


最後に提言でございますが、ILC計画の我が国での実施の可否判断に向けた諸課題について、二、三年を掛けて、当該分野以外の有識者及び関係政府機関も含めて、集中的な調査、検討を進めることというのが最終的な提言でございまして、以下に書いてございます(1)から(5)につきまして、文部科学省が中心となって検討を進めるべしという指摘でございます。その上で、日本学術会議は、上記の調査、検討を踏まえまして、改めて学術の立場からの見解を取りまとめることにより、政府における最終判断に資する用意があるという取りまとめをされておる内容でございます。


雑駁ではございますが、事務局からの説明は以上でございます。


【平野座長】


ありがとうございました。


では、続きまして、鈴木機構長から説明をお願いします。


【鈴木高エネルギー加速器研究機構長】


高エネ研の鈴木でございます。きょうは、こういう場を設けていただきまして、ありがとうございます。


今、大土井室長から概略がありましたけれども、もう少し肉付けをして話をしたいと思います。


きょうは、プロジェクターがあると思ったんですけれども、ないらしいので、こちらでやります。こういうことには余り慣れていないのですが、お手元の資料5に基づいて話をさせていただきます。


2ページ目に、ILCプロジェクトの概要、先ほど話がありましたが、コンポーネントが書いてあります。大きく話をしますと、陽電子・電子の直線の加速器です。全体31キロの直線を加速していって最後にエネルギーを上げていくんですけれども、それだけではなくてダンピングリングというものがございます。


これは何かといいますと、粒子の性能を上げるものです。粒子を一個一個ぶつけるのではなくて、加速する場合、塊でぶつけます。我々はバンチと呼んでいます。一つのバンチの中に、500億から600億個ぐらい電子や陽電子を詰め込みます。その詰め込んだ塊の中の電子や陽電子が、あちこちの方向を向いていると最後にまとまっていかない。だから、方向性をそろえるということが非常に大事なんです。それから、速さもそろえる。方向性をそろえる平行度は、レーザーの1万倍よりももっとあるぐらいそろえてあげないと、最終的に数ナノメーターでもってぶつけます。ナノメーターといいますと、月の潮の干満でもって大地はミクロン動きます。それよりも100分の1以下の精度でもってぶつけないといけない。振動がありますと邪魔しますけれども、そういうものを含めて現段階では出現見通しの可能性は付いております。


真ん中には測定器がございまして、ここで粒子を測定するというコンポーネントでございます。


次に、3ページ目にいきますけれども、リニアコライダーがどのような経緯を経て、ここまで進んできたかということが書いてございます。実際には、1980年代からもう基礎的な開発は進んでおります。KEKにおきましても、当時から施設を造って、世界中の研究者が集まって研究を進めてきました。


2004年に大きな変換がありまして、将来のことを考えて超伝導の加速器でいこうと。超伝導加速というのは将来の非常に必要な技術であって、そういう技術を取り入れようということでもって世界で決めました。そこから、GDE、左の方にバリー・バリッシュという方がいらっしゃいますけれども、この方が中心になって加速器の技術設計チーム、国際チームを作りました。測定器の方は、山田作衛さんが中心になって国際チームを作る。すなわち、R&Dの段階から国際チームを作って、全体でもってグローバルに進めていこうというのがこの方針でございます。


それによって、先ほど話がありました、2007年にRDR(概念設計書)を作りました。2012年にはTDR(Technical Design Report)を作りました。RDRとテクニカル・デザイン・レポートの違いは何かといいますと、RDRの頃はコストに関しましてもかなり絞った形、節約をしようという形でもって進んだんですけれども、SSCという前にアメリカで潰れた大きな計画がありますけれども、これは作っていく段階からどんどん、どんどんお金が膨らんでいったという経験がありまして、それではまずいのではないか。やはり幅を持ってコストを見積もらないとまずいということで、最後の2012年のテクニカル・デザイン・リポートはRDRよりもコストはむしろ高めに見積もってあります。それで、最終的な仕様もほぼ完成したので2012年に出したと。現在は、実際の建設に向けてどうするか、日本学術会議からの提言がございますけれども、そういうものを踏まえて、さらに次の一方を踏み出した。実現に向けての踏み出しをやったというのが現状でございます。


その次のページは、なぜリニアコライダーが必要か。片方にLHCがあるではないか、どうして電子の衝突器が必要なんだということがよく言われるわけですけれども、図の右上の方を見ますと、LHCとILCでイベントをぶつけたときのパターンが描いてあります。LHCの方は陽子と陽子をぶつける。粒子は複合粒子です。クォーク3個と、クォークを結び付けるグルーオンという塊がぐしゃっとぶつかる。村山さんがよく使うのは、大福の中に小豆が入っていますけれども、小豆がクォークであって、それをくっつけている全体が大福だと言っているんですが、私はそういう比喩は言わないで、よく言うのは、ごみ車とごみ車がぶつかった、道路上でごみをばーっとまき散らした。そのために、たくさんのいろいろなごみが出ます。これは、ほとんど興味のない反応です。ただ、どこかの奥さんが間違ってダイヤの指輪をごみ箱に落としてしまった。そのダイヤの指輪は光っていない、ごみでもって汚れているダイヤをどうやってこの中から拾い出すかということで、ここにいる徳宿先生は非常に頑張って、何とか汚れたダイヤをごみの中から見付けようというのがLHCであります。


一方、ILCは陽子も陽電子も素粒子です。ですから、反応は非常に明確であって、きれいな反応で、すぐいろいろなものが見つかります。我々の戦術としては、陽子・陽子でもってまず何かあったという当たりを付ける。次に、当たりが見つかったら、それ行けと電子・陽電子をやるというのがこれまでの我々のやり方です。


右下を見ますと、ヒッグス粒子の場合、LHCで見ると、黄色の部分はバックグラウンドといってごみです。赤いのがヒッグス粒子です。ただし、ヒッグス粒子の出た赤い所から下のごみも全部、一緒にまとめて回収しますから、そこから赤い物を掘り出していくというのは非常に難しい。ところが、リニアコライダーでは、そこに見るように青いヒッグス粒子だけがきれいに見えてくる。非常に精密な実験ができるということで、LHCとILCというのは相補的であって、両方を一緒に進めていくというのがこれまでの常套戦術であります。


次に、ここからは物理の話を若干させていただきます。ヒッグス粒子は非常に大きな話題ですが、我々としては素粒子物理学はもっともっと違った方向を向いております。ここにハーバート・サイモンさんが言っている、4つの大きな謎を解くのが我々人類の長年の願望であると。その中の2つ、まず「the nature of matter」というのは自然です。自然根源とは何か。それから、「the origin of the Universe」というのは宇宙の起源は何か。この2つを、今、素粒子物理学はやっていると考えてもらいたいと思います。


そこで、素粒子とは何かといいますと、先ほどの大土井室長の話にもありましたように、クォーク6個と、それからレプトンという、ライトパーティクルというんですけれども、軽い粒子。電子も入っています、ニュートリノも入っています。もう一つは、木の根っこの部分です。4つの根っこがありますけれども、これはゲージ粒子といいまして、湯川先生は力というのは粒子を投げ合っているんだと。実際、そうかといいますと、これは粒子に置き換えたものでありまして、例えば皆さん、紙の上に砂鉄を置いて、その下に磁石を置きますと磁力線が出ます。力が働くというのは、周りの空間がああいうようになっているんだと。それを粒子に置き換えたんです。それを我々としては基本的に粒子と呼んでいまして、力の種類は、今、根源的なものは電磁気力、重力、弱い力、強い力の4種類と考えております。その媒介する場を代表する粒子としては、フォトン(光子)、重力子(グラビトン)、それからウィークボゾン、グルーオン、この4つの粒子を素粒子と考えています。


それを右の方に表でまとめましたけれども、このように電荷、2/3、マイナス1/3、その差はマイナス1ですね。レプトンの方も、ゼロとマイナス1、その差はマイナス1です。それから、縦軸の方は世代と呼んでいまして、これは世代が大きくなるごとに質量が上がっていく。


こういうように性質が繰り返すということは何を意味するかといいますと、皆さんよく御存じの元素の周期表というものがあります。元素の周期表は、縦の列に沿って性質が似ている。これは、原子の一番外側を回っている電子の数によって性質が決まってくる。ということは何かというと、原子は素粒子ではなくて、原子核と、その周りを電子が回っているという複合粒子である。ですから、同じような性質を繰り返すということは、根本的な粒子がもっとあることを示しているのではないかということが示唆されます。そういうことで、我々はもっともっと根本的な下部組織があるのではないかということで、今現在、研究を進めております。


次のページにいきますと、素粒子にもっと下部組織があるとしたら、どうやってそれを攻めていこうかというときに、素粒子が1種類になるということは、実は力も1種類にならないといけない。なぜかといいますと、先ほど4種類の力があると言いましたけれども、弱い力のボールしか投げられていません。グルーオンは投げられません。そうしますと、いつも弱い力で投げている者がいたら、反応を見付けたら、あなたはニュートリノですねと。それから、クォークはグルーオンだけを投げることができる。グルーオンを投げている反応が見つかったら、あなたはクォークだと言えるわけです。力が1種類になってしまうと、もう粒子の区別が付かないわけです。ですから、力を1種類にするということは素粒子も1種類ということで、我々の戦略は、4つの力を統一した場合には、統一したところは1種類の素粒子ではないかという方法でもって進めております。


まず第1にやったことは、電磁力と弱い力を統一したものを標準理論といって、小林・益川理論もこの標準理論の上に立っています。現在、これは実験的に証明されています。それで、ヒッグス粒子が見つかって標準理論は完成したと、神の粒子だというんですけれども、標準理論は未知のパラメーターを25以上含んでいて、最終理論ではございません。その未知のパラメーターを含んでいる理論というのは最終理論ではなくて、本当の理論というのは全てそこから予言しなければいけない、未知のパラメーターも全部予言しなければいけない。ということは、標準理論は最後ではないんです。それで、我々としては、さらに3つの力を統一した大統一理論、さらに重力も統一した超大統一理論、そこに行って初めて全ての力が統一され、素粒子も1種類になる。そこが我々の目指すところです。


では、そういう世界はどこにあるかといいますと、温度にすると、標準理論を再生する温度というのは10の16乗ケルビン、大統一理論は10の28乗ケルビン、超大統一理論になりますと10の37乗ケルビンです。こういう世界は一体どこにあったかといいますと、この宇宙にあったかといいますと、宇宙創成の10のマイナス44秒後までが超大統一理論の世界、10のマイナス36秒後までが重力と大統一力がある世界、それから10のマイナス11秒後までが3つの力で、現在は4つの力という温度と時間が設定されます。


そうしますと、右の方の現在の宇宙論から来るシナリオを見ますと、宇宙は、さざ波のようなしぶきがぽんと持ち上がって、離れて出来上がった。そして、その青いところというのは、まだ超大統一力、力が1種類、素粒子が1種類の世界です。それから、少し赤いところに入ってきますとインフレーションが始まる。ここが、ちょうど大統一力が分かれて強い力が出てくる。そして、10のマイナス34秒になると、潜熱が解放されてビッグバンが起こったと考えています。


ですから、我々、素粒子の研究というのは、小さいもの、より根本的なものを攻めていったところが、実は宇宙の創成と進化と全く同じ研究をしているということになりまして、先ほどあったように大きな課題の4つのうちの2つ、自然の根源と宇宙の起源ということを素粒子はやっているんだと。


では、現在、素粒子が1種類、力が1種類の世界はどういうものかということを記述する場合によく使われるのが、大方が信じている「超ひも理論」というものがございます。そこでは、素粒子は1種類のひもであって、ひもの運動によっていろいろな素粒子が出てくる。それは11次元の世界です。我々は、今、時間と空間、4次元の世界に住んでいますけれども、重力ができた段階でこの世界が出来上がった。だから、重力ができる前というのは、それ以外の次元を持った空間であっても構わないんです。超ひも理論では、そこは11次元の世界だと言っているわけです。残りの次元、余剰次元と呼んでいますけれども、次元が6次元なのか、7次元なのか、8次元なのかということがリニアコライダーによって分かってくる。標準理論だけではなくて、もっと先のことまでリニアコライダーは研究しようとしています。


では、それを今からどうやって攻めていくかということになりますと、次のページにそのヒントがあります。現在、我々が分かっていないような謎を解いていくのが超大統一理論に向けていく道筋です。現在、解けていない謎というのは、ここに書いてありますように消えた反物質、ビッグバンのときは粒子と反物質が両方、同時に同じ数できたはずだと。しかしながら、現在、宇宙を見ても反物質の宇宙はない、全て物質の宇宙です。なぜか。この疑問を、今、ここにいる山内先生をはじめ、Super KEKBでもって問い詰めていこうとしています。


それから、質量の起源、これはヒッグス粒子と言いましたけれども、ヒッグス粒子が主に働きます。


それから、暗黒物質です。現在、宇宙では23%、まだ分からない物質がある。光って見えるのは周期表にあるような元素からできている物質ですけれども、それが4%、23%は分かっていない暗黒物質で、それが分からない。


さらには、宇宙の質量はE=mcの2乗で、エネルギー=質量と考えますと、73%が分からない暗黒エネルギー、ダークエネルギーと呼んでいます。


これらの分からなさに共通する、先ほど標準理論、大統一理論、超大統一理論と言いましたけれども、これらの言葉で使われている言語を可能性のある解釈として書きますと、消えた反物質は大統一理論、超大統一理論に関係してくる。それから、若干違ったニュートリノに関連するレプトジェネシスに関係してくる。それと関連して、余剰次元も関連してきます。


質量の起源は、ヒッグス博士は南部先生が提案された「真空の自発的対称性の破れ」というのを、自発的対称性の対称性をゲージ対称性の破れということに適応してヒッグス粒子を導入にした。ですから、南部先生の理論をヒッグス博士は利用して、ゲージ対称性に適応したわけです。そういうものがここに絡んできます。そこには、超対称性と大統一理論が絡んできます。


ダークマターも、真空の自発的対称性の破れというものが絡んできます。そうすると、大統一理論と超大統一理論。


ダークエネルギーも、新たに真空がエネルギーを持って変化している。それから、余剰次元も関連します。力というのは空間の次元によってきます。r2乗分の1というニュートンの万有引力の法則がありますけれども、これは4次元空間だからr2乗分の1です。多次元空間になったら、rのnマイナス2乗分の1です。ですから、多次元空間になればなるほど弱くなる。そういう意味で、それがあれば別にダークエネルギーでなくてもいいという解釈もできます。もう一つは相対性理論が破綻している、ニュートン力学が破綻しているということにも絡んできます。


というわけで、やはり全てに真空の自発的対称性の破れが絡んできます。では、真空とは一体何かということは、これからリニアコライダーでもって進めていくと。


左下の方にちょっと絵がありますけれども、真空とは何か。これは私の真空の定義です。勝手な定義をしていますけれども、素粒子物理というのは面白いもので、ほとんど分かっていないので、勝手にいろいろなことを言っても誰も反論できない。しばらくこれは生き延びると思います。


私の真空の定義は、4次元空間のへりが真空だと思います。4次元空間のへりとは何かといいますと、壁の向こうの方の人がのぞいていますけれども、4次元空間のヘリというと、私は余剰次元、11次元の残りの7次元が真空ではないか。南部先生は、真空の自発的対称性の破れと言っていますけれども、実はそれは単に破れ、突然変異みたいに破れるのではなくて、何か道理があって破れているはずであって、その道理を導いているのが余剰次元ではないかと、私は考えています。


では、そんな余剰次元、どこにあるのかといいますと、右下にありますように、全体の次元を2次元に描きますと、横が4次元で縦が余剰次元としますと、これがくるくると巻かれていて、くるくると巻いたものがどんどん小さくなっていって、余剰次元のところは小さいんだと、効果が少ないんだと。だけども、遠い宇宙を眺めていますと、そういう効果が入ってきて、ダークエナジーにも影響しているのではないかと考えられます。


その意味で、超対称性、ゲージ対称性、余剰次元、それから真空の自発的対称性の破れというのが素粒子物理の大きな課題になっています。


次のページに行きますと、それを攻めるのに一気にエイヤーと大きな装置を造るのか。我々としては、最初は250GeVから始めて、その次に370GeVに上げて、そして500GeVに上げて、最終的にはエネルギーを上げていって、さらにもっと進んでいく。SuperILCとありますけれども、もうトンネルがそこまでできている以上は、トンネルをもっと増やして、1TeV、数TeVまでやっていこうというのが今の世界の流れであります。ある程度出来上がれば、そこはずっとこういう世界で仕事を進めていくという流れを持っています。


例えば、KEKはもう40年も筑波にいます。スタンフォード大学のSLACももう50年ある、CERNももう50年近くあります。わずか20年、30年で終わる研究所はどこにもありません。どんどん、どんどん拡張して、それを進めていくことになっています。そこで目指す物理学は、今、言ったようにヒッグス粒子、標準理論をもっと調べる。それから、370GeVに上げて、トップクォークの生成をやって、もっともっと大統一理論とか、超大統一理論に向かっていく。それから、1TeVに上げて新粒子探索をやっていくというのがリニアコライダーの道筋であって、単にヒッグス粒子のことを非常に詳しく調べるというところが目的ではありません。


次に、これまでの技術開発、現状はどうかといいますと、先ほど言いましたように、これは2004年から世界全体でもって進めてきました。ここに大きな研究所が書いてあります。ヨーロッパ、アジア、アメリカ、これと各大学が一緒にやってグローバルに技術開発を進めてきました。なぜかといいますと、大型の装置を造る場合、例えば日本でやる場合、日本だけで全て賄うことはまず無理です。それから、技術もちゃんと世界が同じレベルでないと、あちこちから持ってきたものの性能が違ったら話にならないということで、技術レベルをそろえるということがもう一つあります。そして、世界からいろいろな装置を持ち込んできて完成させようと。


次のページに行きますと、KEKはダンピングリングという1993年に造った実験装置がありまして、ここでビームの性能をそろえる、方向をそろえる、最後にナノメーターに絞っていくというところまで、現在、やっております。ビームの方向性とかをそろえるのは、ほぼ完成、達成しました。ビームのサイズを数ナノメーターまで絞り込むということに関しては、倍ぐらいの大きさの性能まで達しまして、もう半分、頑張ればいい。それも恐らく達成するだろうと思います。なぜかといいますと、現在あるKEKのダンピングリングは地上にあります。地上は振動の非常に激しいところであって、その中でもってこれだけのことを達成する。実際のリニアコライダーは地下にある。地下は振動が少ない。そこではもう十分達成できるだろうと考えていますけれども、最終的な証明も、あと半分頑張ろうと思っています。


KEKには、さらに超伝導空洞開発の拠点、施設があります。ここに世界から研究者が集まって、超伝導加速器の開発を行っています。2年ほど前に、ドイツ、アメリカ、日本で造った同じタイプの装置をKEKに持ってきて、がちゃがちゃがちゃとプラグを差し込むように、もう目をつぶってでも、プラモデルを組み立てるようにして装置を組み上げて、そして性能が出るかというチェックをやったら、ちゃんと出ました。ですから、もう今、超伝導加速器は、技術開発、性能に関してはほぼ達成していますし、世界から集めてきて、プラモデルのように組み立ててもできるというところまでやっております。


測定器に関しましても、主要部分は出来上がって、あとは補助部分の周囲をどういうものにするかという、これは物理に関係しますけれども、調べていこうと。


ということで、技術開発に関しては、これからもまだありますけれども、サイトディペンデントというのは場所によっていろいろなことがありますので、そういうことはありますも、ほぼ大筋出来上がって、これから最終的なデザインをしていこうという段階です。


それに対して、テクニカル・デザイン・レポートができたわけですけれども、コストがその次に書いてあります。12ページの下のページに書いてありますけれども、仕様としては500GeVまで基本は持っていく。250GeV、370GeV、500GeVと持っていって、最後、1TeVまでアップグレードを見込んだ設計にするということで考えています。250GeVまでということになりますと、多分、世界のどこもやってこないと思います。500GeVまでは最低限やって、1TeVまでの見通しを立てた装置を造るということが我々の、世界の望みであります。


ただし、土地とか運転経費、それから税金を省いてテクニカル・デザイン・レポートをやっていまして、表の中にTDR経費(PPP)とあります。このPPPというのは非常によく分からない話で、OECDが為替レートとかに関係なく、ある年代の、ある値を使って設定しろと。変換する場合はそこに立ち返ればいいではないかというんですけれども、私、何回聞いても覚えられないので、これはちょっと省きます。


一番下に、日本で建設した場合の経費、これは日本円で書いてあります。緑枠の方です。先ほど、大土井室長は、総計費8,300億円と言うときに世界全体の平均とちょっと言われましたけれども、これは日本でやった場合です。日本で建設した場合に8,300億円必要である。予備費として24%、人件費は22×10の6乗、だから2,200万人・時です。コンティンジェンシーは24%。


日本でやった場合というのは何かといいますと、この8,300億円の中身ですけれども、下の表にありますように、結構大きな母体であります超伝導加速空洞ですが、これは欧州の価格が平均として取られていまして2,467億円。超伝導線材も、欧州が標準価格として取られています。その他の設備に関しては、アメリカを標準として取っていて3,480億円。日本のディペンデントのところは、土木工事は全て日本のお金です。日本は世界よりも土木工事費が高いので、日本で造る場合には1,600億円は日本のお金を使う。そのほか日本に依存する装置は370億円で、これは中央研究所の建設費も含みますけれども、合計として8,300億円、それプラス土地代が50億円になります。


次のページに行きますと、今度は経費の年次です。我々としては9年でもって完成させようと、8年で造って、あと1年は調整期間ということで考えています。それで、8,300億円を物別に分けてありまして、年次ごとにどう変わるかが書いてあります。一番大きいのは、深い青のトンネル・土木工事に初期に多くなります。それから、薄いグリーンの加速洞、加速管が多いというのが分かります。それプラス、この8,300億円に入っていないのは、測定器の400億円と450億円、2台造ります。約900億円です。


次は、建設に必要な人件費、人員です。それが下の表にあります。14ページです。全体の年プロファイを見ましても、9年を総計しますと9,900人・年です。9年間で割りますと約1,100人が必要だと。その内訳は、矢印の方の左に行きますと、まず建設時の労務量としては、研究者と技術者が4,300人・年で、9で割ると約500人・年です。それから、運営事務職員が1,600人・年、技能・作業者・ポスドクが4,000人・年です。合計として9,900人・年の9年間と。これに経費、研究者と技術者の場合、時間当たり7,000円から9,000円にしますと幅が出ますが、多い方で合計1,280億円の人件費が掛かります。


ただし、これは業務委託、企業の人もこれに全部入っています。業務委託は、今、40%と考えられています。研究者・技術者でもって約500人にしましたけれども、業務委託40%としますと、60%が実際の研究者・技術者です。そうすると、約300人が必要な研究集団、世界から集まってこないといけない。これに関しては、ヨーロッパで走っているCERNのLHCという加速器がありますけれども、ここの人からしますと、ILCは大体300人ぐらいだろうと言われています。ですから、エスティメートは、ほぼこれだけの値ではないか。現在、この辺はまだはっきりしませんけれども、実際にヨーロッパでは100人ぐらい、アメリカも100人ぐらい、日本からも100人ぐらいということを検討しています。


それから、物の搬入が書いてあります。後年度に入ると、物の搬入と据付けが始まります。これは80%が業務委託です。合計しますと、幅がありますけれども、多い方を取ると8,300億円にプラス1,600億円が掛かってくるということになります。


次のページに行きますと、では日本でどういう負担になるかということを大ざっぱに見ています。上の方は、最初10年間の建設とコミッショニング、それから250GeV運転、370GeV運転、それからエネルギーアップグレード、250から370、370から500がありますけれども、それを全部ひっくるめますと、加速器が6,700億円で土地が50億円、土木施設はこうで、合計1兆7,250億円になります。8,300億円と1,600億円の人件費、それと土地代等々を入れてやりますと1兆7,250億円です。これは30年間運転します。建設も入れて全部で30年間ですから、年当たり575億円を世界でどうやって分担するかというのがこれからの課題です。


では、日本はどういう分担になるか。現在、研究者の間でもって、まずはこういう線から交渉を始めたらどうかということが四角に囲んであります。土地や土木費は、日本で造るので100%日本が負担する。それが1,650億円。加速器や電気代等々は、ホストする国が50%払って4,450億円。それから、機器の保守や人件費は欧州、北米、アジアで、アジアは日本だけとしますと3分の1ずつで33%。測定器は、参加する大学、研究所がそれぞれ分担し合いますので、大きく見ても20%、180億円。そうしますと、日本は30年間で8,200億円、年平均にしますと275億円というのが、現在、まずは世界全体として交渉する一つのたたき台として、こういう数字から始めてはどうかというのが我々の提案でございます。


次に、サイトです。皆さん、非常に頑張って、今年の1月からサイトの評価をやってきました。でも、歴史はもっと古くて、2000年から2002年にかけて、全国十数か所でまずは調査を始めまして、その中でもって調査した結果、2006年に北上と背振が候補地であると決めて、そして北上、背振でいろいろな調査をした結果、去年の夏に最終結果を出しました。立地評価会議は、九州大学の川越先生と東北大学の山本先生、南と北の両先生が委員長を務めまして、そのほかの人たちと一緒にやってきました。


この中に専門委員会を作りまして、技術専門委員会というのは土木、岩盤、建物等を含めた委員会、社会環境基盤専門委員会というのは生活基盤、社会基盤、産業基盤等を含めた評価、国際レビュー委員というのはそれらを基にして評価をやりました。


その最終結果は次のページでございまして、去年の8月17日、北上サイトを最適と評価すると。その評価の内容を簡単にまとめたものが下にございます。北上サイトは、将来的に30キロを50キロに拡張するということも含めていろいろな面で、リスク等々を含めて技術的観点からすぐれている、ここで大きく優位であると結論された。社会基盤に関しては、背振の方が周りに大きな都市があったり、いろいろなインフラがそろっているということで評価は高かった。ただし、北上とそんな大きな差は付いてないです。そういう意味で、全体としては研究の将来性も考えて北上サイトになりました。


右上の表は、これまでどういうスケジュールでやってきたか。相当の回数、立地評価会議は60回、会議を開きました。技術専門委員会も、会議をやったのは7回ですけれども、現地に行ったりということで、約5か月間進めてきました。そして、最終結果が北上と。これは純学術的な観点からの評価でございます。


次に、今後、どういうように展開するかということがその下のページにございます。これは、2009年か10年頃、日本から提案しました。テクニカル・デザイン・レポートが2012年に出るということで、今後、どうするかということで、我々としてはこういうように持っていくべきではないかと提案して、これが国際委員会で認められました。ICFAという国際将来加速器委員会で認められて、今、このように進んでおります。2012年、テクニカル・デザイン・レポートが出た以降、我々の提案は、準備室を作る、準備ラボ、ILCプレラボを作る。最終的には、これを国際的なプレラボ、グローバルラボにする。そこで建設の準備、技術詳細設計、技術開発・実証、運営組織、統治(ガバナンス)を設計していく。それで、最終プロポーザルを政府間交渉の上に持っていって、決定されたらILCプレラボがILCラボに変わっていくということを考えています。


その次のページに、現在、2012年以降、どういう体制で進めているかといいますと、ICFAという委員会がございます。その下に、LCB(Linear Collider Board)というものがありまして、今、駒宮さんが議長です。


その下に、これはLCDではなくてLCCの間違いです。リニアコライダー・コラボレーション、バリー・バリッシュさんのGDEから、今度、リン・エバンスさんに委員長が替わって、名前が替わりました。副ディレクターに村山先生が入っています。村山先生を抱き込んだのは、私ともう一人、ジョン・バウワーという人と一緒になって村山さんを是非入れたいと。もう一つは、リン・エバンスさんというのはしゃべるのが非常に下手な人なんですね。それで、もう村山さんでないと駄目だと、村山さんがどんどんリン・エバンスさんの代替でしゃべってもらわないと、とてもとても大変だということでもって、村山さんにお願いして承諾してもらいました。


その下に部会がありまして、CLICというのは後で話が出てきます。それから、ILC(リニアコライダー)、物理・測定器。CLICをここに入れた理由は何かといいますと、CLICも一緒にリニアコライダー、ILCの次はCLICとリニア戦線を張ろうということでもって、CLICをここに入れたんです。これは、リン・エバンスさんを含めた皆さんが一緒にやっていこうという方針です。


昨年3月、ヨーロッパのCERN理事会でもって、5年を見越した戦略会議でもって答申が出まして、CERNは、リニアコライダーは科学的に強い意義があるということと、ヨーロッパが大々的に技術開発に参加してこれまでやってきた。日本の素粒子物理学コミュニティーによる日本でILCをホストするというイニシアチブは非常に歓迎されており、ヨーロッパのグループは参加を強く望んでいる。ヨーロッパは、参加の形を議論するため、日本からの提案を待ち望む。日本が一歩踏み出して提案してほしいと。


アメリカの場合も、HEPAPというところがございまして、現在もP5というところで議論しておりまして、ほぼ固まると思います。ここでも、リニアコライダーの位置付けはちゃんと出てくると思います。HEPAPも、去年3月の時点で、リニアコライダーは科学的な見地から必要とされる。アメリカの参加に必要な条件は未知であるというのは、国際的な合意をこれから得ていかなければいけない。それに対して、やはり日本からの提案を望むと言っています。


アジアも、去年9月に声明を出しまして、ほぼヨーロッパと同じ声明です。


その下は何かといいますと、TDRが出る直前、一昨年の12月にテクニカル・デザイン・レポートが出る直前に我々が思ったのは、TDRが出た後、日本はその次どうするんだということを必ず聞かれるだろうと我々は想像しておりまして、2012年の10月ぐらいにある程度案をまとめて発表しました。TDRの後、日本はこういうアクションを取りますということをやって、2012年の12月のTDRが発表される数日前にヨーロッパで会議があって、私はそこでこれを発表しました。先ほどのヨーロッピアン・ストラテジーを決める会議に招待されまして、日本としてはその次、こうやって進めていくんだということを発表しました。


それは何かといいますと、まずはLCC、LCBに対応するように、日本でも頭にJを付けてJLCCとかJLCBを作っていくんだという話をしました。これは先のことがありまして、今、少しペンディングにしてあります。


その次、加速器建設サイトの一本化。背振と北上になっていましたけれども、早く科学的な見地から決めたいということで、これもやりますと言いました。それで、8月17日に終わりました。


それから、当時は私どもが日本学術会議でリニアコライダーを理解してもらうということを考えておりました。しかし、これは文部科学省の方で力添えいただきまして、文部科学省の方から日本学術会議に諮問が出て、答申が返ってきたのは10月1日と思ったら、先ほどの大土井室長の話では9月24日でした。ちょっと間違えました。


それらをもって、我々としては政府提言をしたいと。当初の話では、2013年9月には政府に提言すると。これまでは、リニアコライダーをやるといろいろなことでもって声を上げていますけれども、正式に政府にお願いに行ったことはまだございませんでした。ですから、こういうサイトが決まった、TDRが出来上がったという段階でもって、政府に正式な提言をしたいと言って、ぎりぎり間に合って9月28日に行いました。


現在は、今年の2月にILC準備室という事務所を立ち上げました。国際的に広げたものですけれども、政府とKEKのILC準備室が一体となって世界交渉、あるいは研究者間の連携、政府との交渉の進め方等々を連携してやっていこうというのが目的でもって、2月にILC準備室を立ち上げました。その下に、ILC準備室の組織がありまして、室長は今、私がなっています。でも、できるだけ早い段階で若い人にバトンタッチしようと。私の寿命はあと1年なので、できるだけ早く辞めます。次の人に渡していきます。その中には、左側の技術開発の部分と、右側の方はガバナンスですね。いろいろなガバナンスを進めていく、必要なことをやっていこうと思っています。


次に、グローバル・プロジェクトにおけるガバナンスという、ちょっと漫画が描いてありますけれども、これは何を言いたいかといいますと、実は2009年にCERNは、全ての素粒子研究はCERNに集めるぞというような雰囲気、はっきり口には言いませんけれども、そういう態度を出したんです。CERNのカウンシルに世界の大きなラボの所長が呼ばれまして、それに対して意見を言いなさいと言うから、私は非常に強い不満を漏らしたんです。CERNに集めたら駄目だと言ったんです。


そのとき言ったのは、これからはサイズが大きくなる、時間のスパンも大きくなる、コストも大きくなったら、グローバル化は必死だ。それは一極に集めるのではない。一極に集めて、ほかの地域のラボを潰したら、これはもうグローバルではない。世界全体のラボが力を持っていて、そして大きなものをやっていくのがグローバルであって、一つだけに集中して、一つだけが栄えても、それはグローバルではないと盛んにCERNに文句を言いました。


それで、我々、じゃあ何かと手直しはできないので、世界のラボはそれぞれアクティビティーを保っていって、それらが集まってコンソーシアムを作って大きなプロジェクトを進めるべきではないかと。LHCは、ハドロンの物理科学に興味がある人たち、ラボが集まってコンソーシアムを作ればいい。それが今のCERNではないか。それから、リニアコライダーに興味や関心がある国、ラボが集まってコンソーシアムを作るということを提案しました。


漫画を描いたのは、ある人からCERNは恐竜ではないと言われたんですけれども、CERNみたいに集めたら恐竜が滅びるように素粒子物理は滅びるといって、その漫画を出したんです。


そのときに、もう少し話を突っ込みまして、ではコンソーシアムはどうやって作るべきかという現在の世界のモデル、ITERとかCERNのモデルを作って考えますと3つの軸がありまして、物資をどうやって調達するか、加速器とか測定器の物資をどうやって世界から集めるかということと、人をどうやって雇用するかということと、あと法的基盤ですね。条約を作るのか、あるいはアグリーメントで済ませるのか。これによって随分、期間が変わってきます。


我々、物質調達に関しましては、例えばITERなどは100%インカインド、物を出してくる。逆に、CERNは100%コモンファンド、お金を出してくる。我々としては、インカインドで70%、30%はコモンファンドと考えています。それから、人件費、人に関しては、CERNは全て雇用、ITERも雇用です。セカンデッドというのは派遣です。我々としては、リニアコライダーは派遣がかなり要ると。国の各ラボが人を派遣して、仕事をして帰ったり、出入りするということで、派遣が大きく占めるだろうと考えています。


というわけで、リニアコライダーはモデルとしてこの3つのことを考えて、これからガバナンスを設計するべきだということを提案しました。


次に、今後の話ですけれども、リニアコライダーのほかに世界でいろいろなプロジェクトがあります。リニアコライダーは、ステージングでもって250GeV、370GeV、500GeV、さらに高度化、たくさん粒子をぶつける方向に進むのか、あるいは1TeVに向かうのかというのは、どういう物理が出るかによって判断します。そして、SuperILCに移って、どんどんエネルギーを上げていくということで考えますと、リニアコライダー、ILCでもって30年のプロジェクト、高度化まで含めますと50年から60年という半世紀以上にわたるプロジェクトです。我々、そういうことを見込んでやっています。


一方、LHCは2035年まで動きます。それ以降は、FCCと書いてありますけれども、フューチャー・サーキュラー・コライダーでつなげていこうと考えています。これは2018年頃に判断すると考えています。


それから、もう一つ、CLICというものがございます。CERNは、2018年にFCCに行くか、CLICに行くかを判断すると思います。ただ、先ほど言いましたように、恐らくCERNはFCCの方に向けていくのではないかと、私は考えています。CLICは、上の方に矢印でSuperILCに向かっていますけれども、これはちょっと私の個人的な感じでございまして、恐らくこうなるのではないか。それを見込んで、CLICも今のリニアコライダー、LCCに入っているわけです。


それから、中国は、同じように電子・陽電子衝突型と、それから陽子・陽子と、リニアコライダーとCERNを両方合わせたようなものを提案してきました。これは何かといいますと、単なる提案だと思っていただいて結構です。詰めはほとんどやっていません。お金の評価は全くやっていない。ですから、恐らくリニアコライダーが走れば、中国の電子・陽電子はまずなくなってしまう。世界でも、これに参加しようという人は、個人的にはいますけれども、まとまって参加するところはどこにもありません。全くまだ机上の空論であって、誰も頼りにしていない。だから、中国単独事業と思ってください。


それから、中国のSPPC、陽子コライダーです。これもお金は全く分からない。ところが、ちょっと内情をお話しすると、中国を刺激しないように、刺激しないようにと、CERNのロルフ・ホイヤー所長は私に非常に言っています。なぜかといいますと、FCCといっても2兆円から3兆円ぐらいのお金が掛かるんです。そのお金を一体どうやって集めるかというのはヨーロッパでも大変な話なんです。ですから、簡単にFCCとは言わないと思うんです。その中で、中国がこういう提案をしたら、中国を抱き込みたいというのは恐らくヨーロッパにはあると思います。ですから、中国を大事にしなさいというのはそういう面だと私は判断しています。やりたいというのを、あなた、やめなさいと言う権利はどこにもないので、それぞれやりたいこと、提案するのは自由であって、可能性を追求すべきだと思います。


そういうような現状でして、とにかくLHCとILCが進んでいく、まず進めることによって、その先のプロジェクトがどう付いてくるかということが決まってくると思います。


もう時間ですので、最後にまとめとして、ILCの波及効果としては盛んに技術効果とか言われています。基幹プロジェクトなので、加速器というのは非常にいろいろな波及効果があります。それは置いといて、例でいいますと、アポロ計画みたいにいろいろな技術が進んでくると考えてもらって結構です。それをやるために、私どもは2008年に先端加速器科学技術推進協議会というものを作りまして、現在100社が入っています。これを作る前は、日立会長、三菱電機会長、三菱重工会長、東芝専務の方が集まって、どうやってリニアコライダーを進めていくべきかということを議論して、是非、日本全体の工業会社を挙げてやっていこうということでもって、相当、技術講習会とか、ワーキンググループ、テクノロジースタディーグループとか、アウトリーチグループ、それから国際特許の取得に関する研究グループ等々の部会を作ってやってきています。


最後に言いたいことは、最後のページになりますけれども、これは前の東大総長の佐々木先生が言われた話です。確かに、技術面とか波及効果はそうですけれども、もっと大きな効果があるのではないかというのが佐々木先生の御指摘ございます。それは、日本が持っている課題、国家の礎、ナショナルブランドの欠如、挑戦意欲の欠如、第三極・アジアとの関係、アジアから欧米への頭脳流出、それから科学・文化と外交、世界の中での日本の地位等々を考えますと、リニアコライダーというのは30年から50年、60年にわたるプロジェクトであって、世界の基礎科学は日本がやっているんだと。


その下は私が書いたんですが、日本に世界から多くの研究者が集まり、長期にわたって基礎科学を先導するということは、やはりある意味では外交、平和に対して大きな貢献をしているのではないか。日本はそういう国なんだということを示すには、リニアコライダーというのは非常に大きな意味を持っていると考えています。


以上がリニアコライダーの説明です。


【平野座長】


どうもありがとうございました。


それでは、ただいま説明頂いた内容について、御質問等ございましたら御自由にお受けしたいと思います。よろしくお願いします。御自由にどうぞ。よろしいですか。


それぞれの立場で委員の皆さん方は、ILCについてのお考えを持ってみえるだろうと思います。特に、今、説明いただいた学術的内容等々について御意見があったら、これもお受けしたいと思っておりますが、今、御発表いただいた内容について特段、御質問がなければ、私の提案でありますが、この有識者会議の下に専門的に検討いただく作業部会を設けさせていただいて、そこで検討いただいたことをこの有識者会議に持ち出していただき、議論して、取りまとめをし、提言に持っていきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。特に何か今の内容について、御質問ありましたらお受けしたいと思いますが。よろしいですか。


それでは、先ほど事務局及び鈴木機構長から大変丁寧な御説明いただき、ありがとうございました。きょうは第1回目ですので、持ち帰って検討いただき、質問がありましたら事務局に意見を寄せていただいて、追加的な資料がありましたら、また皆さんに配っていただき、今後の議論の基にしたいと思っております。どうもありがとうございました。


それでは、この会議の今後の進め方について、私が今触れましたが、事務局の方から説明をお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


お手元の資料6に基づきまして、今後の進め方について御提案でございます。


今後の進め方でございますけれども、1ページおめくりいただきまして、「ILCに関する検討の論点について」という横長のページがございます。ここのところにつきましては、先ほどの日本学術会議の方が取りまとめましたILCに関する検討結果の本文の方から、事務局におきまして指摘を抽出をいたしました。その上で、カテゴライズをいたしまして、まとめたものでございます。つきましては、ちょっと簡単に説明をさせていただきます。


まず、(1)でございますけれども、建設、運転、高度化、最終処理にわたる経費の全容と国際的経費分担。例えば、ITERでございますと、条約上35年ということで、デコミショニングの期間も含めて検討されているということでございますので、先ほど機構長の御説明もございましたとおり、TDRプラスアルファの部分もしっかりと含めて、経費の全容をまず把握する必要があろうかと思っております。最優先はTDR(技術設計報告書)におけるコストの検証でございますけれども、その他もろもろ追加的なコストにつきましても検討する必要があろうと思っております。往々にして、大型プロジェクトはコストがまた増えるということになりますけれども、そういうことは極力あってはならんと思っておりますので、可能な限り幅広く検討を進める必要があろうと思っておりまして、プラスアルファで各国におけます各種の研究計画を踏まえながら、これを進めていくということになろうかと思っております。


(2)でございますけれども、高度化されるLHC計画でございます。先ほどの鈴木機構長のプレゼンテーションでもございましたが、陽子・陽子の実験装置ではございますが、CERNで先行の高エネルギー加速器が動いております。今現在、ちょっとテクニカルな話でございますが、8ギガエレクトロンボルト、すみません、8TeVですね、8テラエレクトロンボルトでの運転をしておりますが、それを今、13まで上げて、最終的には14まで上げてという計画をしております。その上で2035年までの運転をするということで、そこにおける実験結果が当然ながら途中、途中で出てくるということでございます。実験結果が出るということは、新しい物理学が発見される可能性があり得るということでございますので、そういうような動向も踏まえながら、ILCでどのような科学を行うのか、実験を行うのかということにつきましても改めて、再度検討する必要があるのではないかと思っている内容でございます。つきましては、LHCの計画を踏まえましたILC計画、再検討とありますが、検証が必要に応じてあるのではないか。あるいは、将来的なILCの高度化による追加的なコストにつきましても、この点、検討する必要があるのではないか。先ほどの機構長のプレゼンテーションにございましたが、SuperILCなる構想もあるという話でございますので、場合によってはそういうものも含めて検討する必要があるということでございます。


(3)でございますが、人員と人材、特にリーダー格の人材ということでございます。建設期、運転期、それぞれ非常に多くの人員が必要になる計画でございます。当然、国内だけでは足りませんで、国外、海外からの研究者の参画も必要になります。そういった国内外、既存の研究計画を踏まえながら、どの程度の人員を集め得るのかということを、現実的な点で検討する必要があろうかと思っております。プラスアルファ、地元、立地地域への影響としまして、同伴家族が来るということをも踏まえながら、社会的な基盤整備も必要になろうかと思っておるところでございます。


(4)でございますが、機構長がいらっしゃるKEKが中心の組織になるのではなかろうかと思っておりますけれども、いずれにしても国内での実施体制をどう構築するのか。周辺の分野も含めまして、どういうようなコンセンサスを得ながら体制を整備するのか。あるいは、仮にILCを進める場合には国際的な研究機関、CERNのような国際的な研究機関が必要になりますけれども、それにおけます法的な根拠でありますとか、権限、意思決定メカニズム、その他そういったものも別途検討する必要があろうかと思っておりますし、関係自治体等との連携も最終的な場面におきましては必要になろうかと思っております。


(5)でございますが、ILC計画の社会的な影響でございます。技術的な波及効果、あるいは経済的な波及効果でございますが、幾つかの試算がちまたには存在しておりまして、私が知っている限りにおきましても、背振、北上それぞれの地域においてやられているものと、日本生産性本部の方がやれました試算がございます。ただ、日本生産性本部の方がやっているのは46兆円という経済波及効果が出ておりますが、我々としても、もう少し自ら検討する必要があるのではなかろうかと思っております。あるいは、国民的な理解の増進のための取組でございますとか、最終的な実施の段階におきましては土地制約上、土地利用上の制約、環境影響等につきましても配慮する必要があろうかと思っております。最終的な予算を取る段階におきましては、ほかの学術研究、あるいは国家的な諸課題、復興支援もございますが、いかにそういうような取組に対して影響を与えないようにするかという予算の枠組みが必要になりましょうが、取りあえずは、まずできる範囲での検討をこの項目の中でやっていくということを考えております。


続きまして、次のページでございます。先ほど、平野座長の方からも御提案ございましたけれども、今現在、文部科学省内におきましてタスクフォースが設置されております。座長は櫻田副大臣でございまして、省内の関係者がメンバーでございますが、その下にこの有識者会議が位置付けられております。その有識者会議の下に、我々、事務局としての提案でございますが、2つの作業部会をまずは設置してはいかがかと考えております。1つは素粒子原子核物理作業部会、もう一つは技術設計報告書(TDR)検証作業部会でございます。


1つ、素粒子原子核物理作業部会におきましては、各国の研究動向、その他もろもろを含めながら、ILCでどのような科学を行い得るのかということを、最新の情報に基づきまして検討をそれぞれ行っていく、そこでILCが行う実験等についての科学的な意義をしっかりと固めていくということを行うようなイメージを持っております。2つ目でございますが、技術設計報告書(TDR)検証作業部会でございます。コスト、その他技術的な要件につきましては専門的な議論が必要になりますので、TDRに書かれております前提でございますとか、記載の内容を押さえながら、最終的にはコストの方に反映させていく、それで総コストが幾ら掛かるということにつなげていくような作業部会をイメージしております。


まずは、この2つの作業部会を設置いたしまして、御議論いただきまして、必要に応じてはこの有識者会議にフィードバックいただくという進め方をしてはいかがかと思っております。また、この作業部会での議論でありますけれども、高エネルギー加速器研究機構の方と十分な連携を図りながら行いたいと事務局サイドとしては考えております。


技術的な調査につきましては、適宜、外部委託を活用することを考えております。日本学術会議の方の指摘にありますとおり、二、三年を掛けて、しっかりと検討するべしという指摘がございますので、当面は平成27年度をめどに一定の議論の結論を得られるように検討を進めていきたいと思っておりますが、これは議論の進捗状況を踏まえながら柔軟に対応していくことをイメージしております。いずれにしても、できる限り早く、集中的に議論をしていくということを考えております。


以上が、事務局サイドからの御説明でございます。


【平野座長】


ありがとうございます。


ただいまの御説明に対して、御意見等ございましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。


それでは、今、提案のありました2つの作業部会をこの会議の下に置きたいと考えておりますので、専門的事項につきましては作業部会を中心に議論を進めていただき、この会議に御意見を賜り、議論をしながら、最終的な提案の方に持っていきたいと、考えておりますが、その手続でよろしいでしょうか。ありがとうございます。


作業部会の部会長でありますが、この下に置く作業部会については、事務局とも事前に相談をしておりまして、よろしければ私から提案をさせていただきたいと思います。


素粒子原子核物理作業部会につきましては、梶田委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。


それから、技術設計報告書(TDR)検証作業部会につきましては、元原子力学会長で日本原子力研究開発機構の前理事の横溝先生にお願いをしたいと思います。よろしいでしょうか。


お二人の先生については、専門的な立場から作業部会をリードしていただいて、この会議に提案を頂きながら、議論していきたいと考えております。御面倒を掛けますが、よろしくお願いします。


この作業部会においては、各部会長の先生方は、これまでの議論等々で出ております件について、委員とともに努めて議論を進めていただき、必要に応じては、当然でありますが、作業部会独自の判断をそこに加えていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。


本日は、特に今後のこの会議の進め方について皆さん方に御意見を賜りながら進めていきたいと考えて、今日の会議に臨んだわけでありますが、櫻田副大臣が他の会議の方でまだ少し遅れているようです。せっかく土屋文部科学審議官、所掌の小松研究振興局長が出席くださいましたので、ご挨拶いただきたいと思います。土屋文部科学審議官、まず一言。その後、小松局長からよろしく。


【土屋文部科学審議官】


発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。


ILCについての検討なんですが、これはもちろん日本に造れればいいわけなんですが、当然、巨額な経費が掛かって、科学技術関係のリソースはどのくらい割けるものなのか、ここが最大の眼目になってきまして、是非、先ほど設置していただきました2つの作業部会、特に素粒子原子核物理作業部会の方では、そこの意義というか、ハドロン対電子というか、電子・陽電子のILCとの関係において、我々、日本としてどうあるべきか。先ほど、鈴木先生から佐々木毅先生の意義の御説明がありましたが、我が国の戦略的な科学技術外交上も極めて重要なプロジェクトになってくると思っていまして、よくこの場で御検討いただいて、我々、それを受けて、しっかり行政的に取り組んでまいりたいと考えております。


大変お忙しい中、恐縮ですが、何とぞよろしくお願いいたします。


【平野座長】


ありがとうございました。


小松局長、よろしく。


【小松研究振興局長】


大幅に遅刻をしてまいりまして、誠に申し訳ございませんでした。担当の研究振興局長の小松でございます。皆様には、本当にお忙しい中を、非常に重要な課題ということもございまして、御無理いただいて、御参集いただきました。誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。


今、土屋文部科学審議官から申し上げたとおりでございますけれども、これは世界的な視野でどう取り組むかという観点から、我々、やっていかなければいけないわけでございますけれども、そのためには世界全体のコミュニティーとして、国際協力の枠組みをどういうように作っていくのか。そのためには、どういう位置付けをもう一度きちんと確認し、そして、それに掛かるコストなり、そういったものについても組み立てていくということがどういうように実現できるか。これは大変重要な課題だと考えております。


そういう観点で、もとより、ほかの科学技術コミュニティー全体の理解や、そういったものも取り付けていかなければいけないわけですけれども、そういったことを含めまして、この会議で是非しっかり詰めさせていただきたい。日本学術会議との連携もございます。きょうは最後の方だけで大変恐縮でございましたが、鈴木先生からもいろいろ御説明を頂いて、かつワーキンググループといいますか、そういったものも設置されるということが決まりましたので、今後、私どもも一生懸命務めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。


【平野座長】


どうもありがとうございます。


櫻田副大臣がお見えでないので、私の個人的なことで大変申し訳ないことでもあるんですが、素粒子関係のことでお話しさせてください。私は名古屋大学工学研究科に進学したのですが、大学院に入ると、良き時代で、理学研究科の講義を聞いてもいいといわれて、坂田先生にもお会いしました。先生は残念ながら現役のときに亡くなられたんです。くしくも私の名古屋大学総長の任期の最後の年でありましたが、坂田先生の教え子の益川先生、小林先生がノーベル賞を受賞され、私も先生方のおかげでストックホルムに行かせていただき、先生方の受賞講演では、坂田モデル、クウォーク粒子また大学院の頃はそこまで話はなかったと思いますが、ゲージ理論だとか、先生方の恩師を想いながらの講演を感激しながら拝聴しました。名古屋大学の方々も宇宙の研究を進めていますので、天文台の開設のときにも挨拶しましたが、物質の起源、根源は何であるか。これは、やはりあくなき興味といいますか、探求したいという熱意はよくわかります。そういう意味でも、リニアコライダーは観測の重要な一つの手段であろうし、サイエンスとしての純粋な意味でも、国際的な状況、予算等の立場から検討が必要であろうと思います。


同時に、では国際的の状況の中で日本はどうしたらいいのか、今、文部科学審議官、その前に山脇大臣官房審議官からお話しいただいたように、国際的な連携、あるいは国の中での財政を含め、科学技術・学術全体の中でどう位置付けるか、議論になるところであろうと思っております。純粋なところから全て片付けていきたいわけでありますが、残念ながらある境界というのもありますので、その部分も含めて、国民の方に理解していただく環境としては何が一番いいのか、そして、学術として日本のプレゼンスをきちんと出すためにはどういう体制がいいのか、こういうことを含めて、この有識者会議で提言を出していただき、文部科学省の方がそれに沿って、参考にして活動をしていただければ大変ありがたいと、私は思っております。


科学技術・学術に十分な予算があり、かつこの部分は特別な予算であると、そういうような環境になるならば、かなりの方がにこにこしながら議論もできるだろうと座長としても思うわけでありますが、境界条件もないわけではありません。国際的にどうするか、日本がどういう貢献をするか、が大変重要なことだと思いますので、この有識者会議としては、そういう立場で議論を今後とも進めていけたらと望んでいるところであります。


岡村先生、私ばかりではいけませんので、何か。


【岡村座長代理】


いえいえ。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


よろしいですか。国際的な関係のところで、せっかく時間がございますので、先ほどの鈴木先生の御説明を若干補足するだけでございますが、この紙ファイルの一番最後のところに欧州戦略のサマリーを付けさせていただいております。主要国となりますのは、恐らくヨーロッパ、アメリカ、そういったところになろうかと思いますけれども、そちらの方でいかにこの案件を位置付けているかというところの参考になればと思って御紹介差し上げます。


一番最後のピンク色の紙のところにございます「素粒子物理学における欧州の未来戦略」、2ページ目から本文の英語版がございますが、KEKの方が仮訳したものを御紹介させていただきます。


この欧州戦略におきましては、2013年から当面の間、5年間の戦略を定めたものでございまして、4つの優先項目を指定しております。


1つ目は、c.と書いてございます「ヒッグス粒子の発見は」から始まるパラグラフでございます。赤い部分、欧州のトッププライオリティーは、LHCのアップグレードを行いまして、それを用いた実験をしっかりと行う。ここでは、フレーバー物理とクォーク・グルーオンプラズマ物理の新たな結果も期待されるという文言がありますが、2030年までのLHCの活用というのがトッププライオリティーでございます。ちなみに、昨年12月のCERNの理事会におきましては、この2030年という計画が2035年まで5年間ほど延長しているという状況でございます。


続きまして、2つ目でございます。CERNは、電子・陽子衝突を主とした高エネルギー最前線の加速器計画の設計作業を行う。先ほど、機構長の方のプレゼンにございましたとおり、CLICでございますとか、FCCでございますとか、CERNの方が持っております将来計画に向けた諸課題への研究開発を行うというものでございます。


3つ目のe.のところがILCでございます。日本の素粒子物理学分野が率先して日本にILCを誘致することを最も歓迎し、欧州グループ等の参加を強く期待している。欧州は、参加の可能性を議論するために日本からの提案を期待している。英語の方では「possible participation」という文言がございますが、そこの議論をするというメッセージが書かれております。


最後でございますが、ニュートリノ実験につきましては欧州が中心的な役割を果たしてきたが、米国や日本で行われる実験に参加することを検討するべきであるという内容でございます。これが欧州の方の戦略でございます。


一方、アメリカでございますが、今現在、実はP5と呼ばれる素粒子物理学のプロジェクトの優先順位付けの会議をまさに行っているところでございまして、早ければこの5月にもP5のレポートが出てくるであろうと言われております。P5の会議自体は、アメリカのエネルギー省(DOE)の下に設置されました有識者による会でございまして、P5の議論を基にDOEの方が今後の政策を考えるというものでございまして、アメリカの動向はP5のレポートを踏まえた上でというか、レポートが出てくれば何かしらメッセージが出てくるだろうという状況でございます。


以上、アメリカとヨーロッパの状況でございました。


【平野座長】


ありがとうございます。


大変お忙しい中、櫻田副大臣が御出席くださいました。最後になりますが、御挨拶いただければと思います。よろしくお願いします。


【櫻田副大臣】


では、座ったままでよろしいですか。


【平野座長】


はい、どうぞ。


【櫻田副大臣】


どうも皆さん、こんにちは。いつも大変お世話になっております。文部科学副大臣を務めております櫻田義孝でございます。


本日は、お忙しい中、鈴木機構長にはILC計画の動向について御説明を頂き、また委員の皆様には本計画の調査、検討の進め方について御協議いただき、非常に感謝をしているところであります。


国際リニアコライダー計画は、日本が主導する数少ない科学プロジェクトと受け止めているところでございます。一方、非常に大規模なプロジェクトであるために、多くの事項について慎重に検討を進める必要があるということも事実でございます。そのため、多角的な観点で御議論いただくべく、様々な分野で御活躍されている皆様にお集まりいただいたところでございます。本計画に向けて、科学者の熱意をしっかりと受け止めつつ、しっかりと議論をしていただきたいと思っております。


今後も、委員各位に引き続き御助力のほどお願い申し上げます。


【平野座長】


どうもありがとうございました。


それでは、今後の日程等につきまして、事務局から御説明をお願いします。


【大土井素粒子・原子核研究推進室長】


最後でございます。資料7でございます。


本日、5月8日に第1回目の有識者会議を開催させていただきました。これ以降、先ほどお認めいただきました作業部会を早急に設置しまして、そちらの方でまずは専門的な議論を進めていくということをイメージしております。そのため、この有識者会議につきましては、一応、事務サイドとしては、第2回としましては10月ぐらいをめどに、それぞれの作業部会での議論の審議経過、あるいは状況について御報告いただきまして、必要な御議論を頂くということを想定しております。


当面の予定は以上でございます。


【平野座長】


ありがとうございます。


きょうは第1回目の会議であります。作業部会を2つ作っていただきまして、どうもありがとうございます。作業部会で意見を出していただきながら、この有識者会議で積みながら、最終的な提言に向けて努力をしたいと思います。今後ともよろしくお願いします。


きょうは、どうもありがとうございました。


―― 了 ――


お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室


(研究振興局基礎研究振興課素粒子・原子核研究推進室)



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