プレスリリースの書き方


ここでは、貴社のプレスリリースが、記者の目に留まりメディアに掲載されるために、知っておくべきルールなどの方法論を簡潔に整理してあります。これからプレスリリースを執筆する企業にとってすぐに役立つ実践的な内容としましたので、ご利用下さい。

マスコミには毎日山ほどのプレスリリースが様々な企業から届きます。マスコミは、受け取ったプレスリリースの内容に関心を持つと、追加情報を問い合わせたり取材をするなどして、記事などの形でとりあげます。もちろんすべてのプレスリリースを記事にすることはできませんので、残りの多くがゴミ箱行きとなるのです。

記事化されるかゴミ箱行きか、それは発表される題材の本来の価値(これを広報の世界では「ニュースバリュー」と呼ぶ)にもよります。しかし、その題材の価値を最大限記者にアピールし認めさせるのが広報担当者の役目と言えます。

ただそうは言っても、これまで広報活動を全く行ってきておらず、会社や業種がこれまで全く知られていなかった会社がいきなりプレスリリースを一本マスコミに送りつけてすぐに取り上げられるのは、内容や書き方にもよりますが、並大抵のことではありません。なぜならマスコミの理解促進や記事掲載は基本的に、プレスリリースを含む様々な広報活動を組み合わせて実現していくものだからです。したがって「プレスリリースの書き方」と言っても、その企業や業種に関するマスコミやターゲット読者の認知度や関心度、プレスリリースを出す目的(記事掲載か理解促進か)などによって、ある程度異なってきます。

ここではマスコミに掲載されるためのプレスリリースの書き方の一般的なポイントを、いくつかのクリアするべき"関門"別にまとめてみました。先に述べた前提をご理解いただいたうえで、参考にしていただければ幸いです。


第1関門: テーマ選び

マスコミは毎日沢山のプレスリリースを受け取っています。その中できらりと光るテーマを見つけるには次のことを心がけることをお奨めします。

  • そのときどきの季節感、キーワード、トレンドに関連付けられている。(例:○○の日、桜・海・紅葉・雪、原料・食料高、節約・省エネ、防災・防犯、グローバル化、ブログ、携帯、皆既日食など)
  • 他社と異なる「ユニーク」な点や「強み」をアピールできる。
  • 「その地域らしさ」をアピールできる。
  • 社会問題に関連づけられている。例えば「少子化問題」「地域経済の活性化」など。
  • 不透明な時代に「奇抜なアイディアで勝負する中小企業の姿」が透けてみえる。

第2関門: タイトル(見出し)

リリースが記者に読まれるかゴミ箱行きとなるかの一番大きな関門は「タイトル」(見出し)です。記者がタイトルをぱっと見て「面白そうだ」と思えば、本文まで読み進みますが、そうでなければ本文も読まないうちにゴミ箱行きです。プレスリリースの運命はタイトルで決まるといっても過言ではありませんので、時間をかけて作成することをお奨めします。

  • 何よりもまず一目見て興味をそそられるようにする。例えば同じ調査結果に関するリリースであっても「▲▲調査結果について」よりも「調査により■■が判明」のほうが目に付く。ただしこの場合判明したことに意外性があることが前提。
  • 短くシンプル、一目ですぐに頭に入るようにする。
  • 強調したいポイントを一点に絞る。情報を詰め込みすぎると何がいいたいのかわからずゴミ箱行きになりやすい。
  • 「業界初」などインパクトが分かる情報を加える。
  • 数字を入れると規模感がわかるので良い。
  • 安っぽいチラシのごとくうそっぽくなるとかえって逆効果なので要注意。
  • そのときどきの季節やトレンドなどタイムリーなキーワードを含めたほうが記者うけが良い。ただし、無理やりこじつけた感が出てしまうとかえって逆効果なので要注意。

第3関門: 本文

記者が本文を読もうとするということは、テーマに関心をもったことを意味します。したがって、必要な情報がそろっていれば記事化される可能性は高いといえます。本文で一番重要なのは、第一段落です。記者は、第一段落を読んで興味を持てば第二段落に進み、さらに興味を持てば第三段落、というふうに読み進めます。結論や重要なポイントを最後に持ってくるという手法は、プレスリリースには通用しませんので要注意です。

  • 最も重要なことや結論は、第一段落に含める。
  • 冗長な表現を避け、簡潔にまとめる。
  • 本文はA4一枚にまとめ、詳細情報は添付資料とする。
  • 過去に済んでしまったことは基本的にリリースしない。記者は速報性を重視するため新しい題材ほど歓迎される(メディアによっても若干異なるが)。サービス開始に関するリリースでサービス開始日の日付が過去のものであればリリースは即ゴミ箱行きとなる。過去に起きたことをどうしてもリリースしたい場合は、具体的な日付を入れず、「”このほど”開始しました」といった表現でオブラートに包む。
  • 製品名などアルファベットの言葉は読み方をカッコ書きする。
  • 第三者の著作権の扱いに注意。統計データや数値などの引用の際は必ず出典元を入れる。事前に許可が必要なものを許可をとる。
  • 第三者の機密情報の扱いに注意。提携先企業などの情報が含まれる場合は、必ず相手先の承認をとる。
  • 誰が読んでも誤解の無いよう、あいまいな表現を避ける。
  • 対象とする媒体の読者の多くが知らないと思われる業界用語は極力避け、一般の言葉に置き換えるか、カッコ書きの説明を加える。
  • カタカナ言葉のオンパレードにならないように注意する。一般的な日本語に置き換えられるものは置き換える。
  • 具体的な数値やファクトを添えて説明する。例えば、「世界最高レベルの高性能」とする場合、これまでの性能と今回の性能がどう違うのかを数値などで表す。
  • 社会的なインパクトに言及する。例えば、それによって、何がどう変わるのか、便利になるのか、など。
  • 発表する分野の市場性や将来性について言及する。
  • あれもこれもアピールするのではなく、どこかにポイントを絞る。
  • どのようなメディアを狙うのかによって書き方を調整する。例えば、業界誌を狙うのであれば製品の性能や機能の優位性を強調、一般紙やテレビを狙うのであれば身近な生活への影響に言及、ビジネス誌であればコスト削減など経営にどのように役立つかを強調する。
  • すでにどの程度その分野・貴社が認知されているのかに応じて、書き方を調整する。例えば、その分野が対象者にとってよく知られていない場合は、まずはその分野の現状を簡単に説明し、発表対象の意義を理解しやすくする。
  • これまでプレスリリース配信や広報活動を継続的に行ってこなかったか、あるいは、まだ記者が十分に理解していない場合は、会社の概要や強み、ユニークな点を、具体的な数値やファクトとともに、強調しておく。
  • リリースを継続的に出す場合は、事前に会社としての広報統一見解をまとめておき、リリースを出すたびに引用される事実関係や会社のスタンスが異なることの無いように気をつける。
  • 記者が追加情報などが欲しいときにすぐに確認できるように、企業公式ページなど関連情報のURLを記載する。
  • 記者向けの問い合わせ先を必ず掲載する。必ず電話番号を入れる。記者は忙しいのでメールでの問い合わせは基本的に行わない。

第4関門: 問い合わせ対応

記者が内容に関心を持ち記事化を積極的に検討する際に、リリースのわかりにくい部分を確認したり、追加情報を入手するために、電話で問い合わせることがあります。この段階までこぎつけることができれば、リリースの書き方は合格です。しかし、この段階で記者が、書くことを決めている場合と、リリースの段階では迷いがあり問い合わせた結果(追加情報が入手できなかった、内容を確認したら記者の理解が違っていた)によっては記事化を辞めてしまう場合があります。したがって、記者から問い合わせを受けても油断せず、確実に記事化に持ち込みたいものです。

  • 会社概要やサービスの特徴などの基本的な情報は、広報統一見解としてまとめておき、回答する時期や記者によって回答がぶれないようにする。
  • それぞれのリリースのテーマに対しては、記者からの想定質問と回答(想定問答集)をあらかじめ準備しておく。
  • 記者の質問にはできる限り回答する。記者の質問の中にはこの情報が無ければ記事にならないという重要なものもあるため。ただし戦略上どうしても回答できない場合は、別の角度から回答できることを提案する。
  • リリースの問い合わせ対応は、広報担当者が行う。広報担当者は、会社としての統一見解に基づき対応する。プレスリリースに書いたことと首尾一貫しない情報や、開示してはいけない情報を、記者に提供することを防ぐため、広報担当者以外の従業員が単独で記者に対応することのないようにする。
  • リリースを出した日は、記者からいつ電話が来ても対応できるよう、体制を整えておく。記者は毎日急いでおり、電話が来ても担当者が不在だと、記事化をやめてしまう場合がある(経済紙や通信社の経済部や産業部など速報性を重視するメディアは一層この傾向が高い)。担当者がたまたま不在の場合は、記者の連絡先を社内で控えておき、担当者が戻り次第すぐに折り返すようにする。
  • 記者の質問に即答できない場合は、一旦電話を置き、調べたり見解をまとめてから、できるだけ早く連絡する。回答が後れると記事化がボツになる可能性があるので要注意。あいまいな回答はしない。
  • 記者に対して「オフレコ」は基本的にNG。書かれたら困る事を軽々しく話さないようにする。

第5関門: その他

  • プレスリリースを出したのち、記者に電話をかけて追加説明などをすると掲載されることがある。
  • 言葉では表現しきれないことを記者に伝えるために、画像や動画を用いると記者の関心度が高まることがある。画像や動画ファイルのURLをプレスリリースに記載しておくと良い。
  • 継続的にプレスリリースを配信する場合は、記者に会って会社の概要や強みなどについて理解しておいてもらうと良い。ただ記者に会う際は「おみやげ=そのメディアが記事化できそうな有益な情報」を準備することをお忘れなく。
  • 必要に応じてPR会社を利用すると良い。プレスリリースの書き方だけでなく、企業の効果的な広報統一見解の作成や、記者へのコンタクトに使う効果的な資料づくりなど、プレスリリース配布をより効果的に行うための包括的な広報プログラムを提案・提供している。
  • 記事化した記者に「ありがとう」とお礼を述べるのは必ずしも適切ではない。記者は、お願いされて書いたのではなく、面白い題材だと思ったから書いたのであり、関係はあくまで対等という認識なので、「ありがとう」と言われるとプロ意識の高い記者ほど違和感を覚えるようだ。

テーマ別のプレスリリース作成方法

プレスリリースの主要テーマごとに、リリースに含めると良いと思われる情報をまとめました。項目をクリックしてご利用下さい。


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(最終更新:2010年2月)

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